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どうなる?小学校英語

どうなる?小学校英語
先進的な取り組みをレポートします
知立市立知立小学校は、創立以来140年以上の歴史を誇る、長く地域に根づいてきた学校です。
昨年行われた研修授業では、実際の地域を体育館に再現して、5年生が「道案内」をテーマに英語活動に取り組みました。「伝え合い、学び合い、認め合う子をめざして」を研究主題に掲げる知立小学校の、「発達段階に応じた、伝え合うことを目的としたコミュニケーション活動」の充実をめざす「英語活動」の一貫です。
そのときの様子を、学級担任の山田花尾里先生にお聞きします。
——知立小学校をとりまく町を、体育館に再現したとお聞きしました。
はい。知立小学校では、独自のカリキュラムによる「道案内」の取り組みを5年生で行います。今回は、現実の様子に近い臨場感ある場所設定をと、体育館を使いました。一つのマットを1ブロックに見立て、実際の知立市の町並みを再現し、それを使って道のりや場所を説明します。もっとも、子どもたちにとってブロックというのはなじみがなくて、わかりづらいため、地域にあるものを長方形のブロックにあわせて配置することにしました。例えば、知立駅を出てまっすぐ進むと右側にホテルがありますが、そのような現実の位置関係をできるだけ再現するといった具合です。
子どもたちには、地元への愛着も育てながら、英語のコミュニケーションを、より身近に感じてほしいと思いました。
——体育館を町に見立てるのは、ダイナミックな取り組みですね!
実は、最初は教室で実施することも考えていました。しかし教室では、机をブロックに見立てて町を作っても、「道」の部分を歩いてすれ違うのも大変です。そこで、もっと広い場所でということになったわけです。2教室分の広さのある部屋も考えてみましたが、ブロックに見立てた机と道路の広さのバランスが悪いなどの問題もあり、結局は体育館を使用することになりました。
最初はフロアに大きな紙を広げてブロックに見立てる案などもありましたが、最終的にはマットを広げて1枚を1ブロックとすることにしました。足りない分は玄関マットも使いました!マットとマットの間の「道」で、子どもたちはのびのびと「道案内」のやりとりをしていました。
——児童のみなさんの反応はいかがでしたか。
授業で初めて体育館に入ったときには歓声をあげていました。授業ではまず、ALTの先生も一緒に入り、道案内に使うChiryu Station(知立駅)とか Chiryu Elementary School(知立小学校)、Hotel Crown Palace(クラウンパレス)というホテル名などの単語や言い回し、挨拶などを最初に学びました。その上で、それらの英語を使って、体育館の「町」で道案内をしました。実際に目的地にたどりつくという目的に向けて、友だち同士で助け合う場面も見られました。
研究主任をはじめ色々な先生方に相談してご意見をいただきました。また当日も、多くの先生方に早くから来ていただき、マットを広げるなどのセッティングを手伝っていただくなどしてようやく実現できました。手間がかかることでもあり、毎回の授業でできることではありませんが、実際に近い場面設定というのは、とても効果的だと感じました。
——子どもたちの英語の学びについてアドバイスをお願いします。
英語の学習は、単純に覚えるのを目的にするのではなく、英語を使って楽しむことが体感できるといいと思います。今回のように、「外国の人が来たら自分の町の道案内をこうやってできるんだ!」、「自分が外国に行っても、こんなふうに道を教えてもらえばいいんだ」というように、実際の場面と結びつけて体感できるような設定で、楽しく学習できるといいですね。

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知立市立知立小学校 教諭 山田 花尾里先生
- 名古屋市出身。愛知県の教員で、中学の英語教師として7年間英語を教えたあと、小学校の教員に。小学校は12年目で、知立小学校に着任してから高学年を担当し本年で5年目。