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【世界で通用する英語力を身につけるために】大学英語も4技能重視に

【世界で通用する英語力を身につけるために】大学英語も4技能重視に

総合教育・生涯学習機関ECC 機関紙Harmony  vol.52(平成28年9月1日) 掲載記事

個性的な英語の入試問題で知られる京都大学でも、近年はグローバル化に対応すべく、大学1・2年生の授業を担当する新たな教育組織、国際高等教育院が開設され、実践的な英語の授業を増やすとともに、外国人教員による「英語による授業」も拡大、ゆくゆくは授業の約3割を英語で行う計画です。

最新の動向を、京都大学国際高等教育院准教授の金丸敏幸先生にお聞きしました。

 

京都大学 国際高等教育院 准教授 金丸 敏幸先生
京都大学 国際高等教育院 准教授 金丸 敏幸先生

京都大学 国際高等教育院 准教授 金丸 敏幸先生

専門は外国語教育、認知言語学、自然言語処理。理論言語学と自然言語処理、言語教育学の各分野を結びつけ、言語教育が抱える諸問題に対して教材開発の観点から科学的・工学的にアプローチする。小学校での外国語活動模擬授業や授業研究、語学番組の監修補助にも取り組む。

大学英語も4技能重視に

2017年度から、1・2年生の英語が大きく変わる

国際高等教育院の事業も順調に整備が進み、「5年で100人」ということで話題になった外国人教員の採用も、3年目ですでに60名に達しました。彼らが行っているのは英語の授業ではなく、「英語による」授業です。2017年度からは、国際高等教育院では大学1、2年生のための「英語による」一般教育科目(全学共通教育科目)を200コマ以上、提供できるようになります。

一方、外国語としての必修英語の授業に関しては、これまでも様々な改善が図られてきましたが、今年度と来年度で全く新しい形に再編されます。とくに、来年度の2年生はこれまでの「英語」という枠組みに囚われず、より多くの選択肢の中から学生が自分の能力と興味に合わせた授業を受けることになります。具体的には、4技能プラス資格・検定試験対策の5つに分かれていた英語IIが、E1、E2、E3の3つのカテゴリーからなるE科目に編成されます。

E1は新たに設けられる科目で、英文学や言語学の入門など、これまでよりも教養的要素を強くした英語の講読が中心になります。E2は、現在、国際高等教育院が整備を進めている「英語による」一般教育科目の授業で、外国人教員が教えます。もともと、「英語による」一般教育科目は外国人留学生が受講者の半分以上を占めることも多く、国際色豊かな環境の中で教養を深めることになります。入学時点で学年の5~10%程度の英語のできる学生(TOEFL ITP® 550点以上)にとっては、より実践的に英語を学ぶことができるようになります。E3はリスニングやスピーキングに加えて、TOEFL®TEST対策など、従来の英語IIと同じような技能別の英語授業を展開します。ただ、これまでとは異なり、リスニング+スピーキング、リーディング+ライティングなどのように、複数の技能を組み合わせた形で学びます。

英語技能の統合化への移行はすでに始まっていて、今年度から1年生の英語のライティングクラスに、オンラインによるリスニング学習が加わりました。京都大学の場合、必修英語は一学年3,000人近い学生の約99%が受講します。これまでは、リーディングとライティングのクラスはそれぞれ約40人編成でした。それを今年度から、リーディングクラスは約40人編成の74クラスのままですが、ライティング(リスニング)クラスについては、よりきめ細やかな指導を行うため、20人ずつの全148クラスにしました。

オンラインのリスニング課題については、私を含めた3人の教員が中心となって担当しています。リスニングの学習は授業外に行ってもらうことになりますが、定期的に授業内で試験を行い、ライティングクラスの成績で100点満点中、前期は30点、後期は20点が反映されます。60点に届かないと単位が取れませんから、授業外での学習だからと軽視はできません。今年度からはさらに一般教育科目全体にGPA(Grade Point Average)制度も導入され、60点以下は単なる未履修ではなく、GPが0になります。GPAはGPを平均した値を参考にしますので、0を取ると平均を大きく下げてしまいます。英語の授業に限らず、学生の授業態度はずいぶん変わったというのが教員としての印象です。

これまで個性的な入試問題で知られる京都大学ですが、入学後の英語教育でこのように4技能を重視するようになってきたのは、留学や英語による授業には「聞く」、「話す」力が不可欠だと考えるからです。私たちが調べてきたところによると、京大生はとくにリスニング力が弱く、また、スピーキング力もあまり強くありません。このままでは英語による授業を増やし、これまで以上に海外留学を推し進めるのは厳しい状況です。

世界の大学がライバル

現在、世界の大学は激しい国際間競争に曝されています。その中で大学が生き残っていくには、教育・研究の中身を充実させるだけでなく、少しでも多くの優秀な学生、教員を集めることが必要です。そのためには、英語で授業を受けられる学生を少しでも多く育て、英語による授業を増やす一方、世界のトップレベルの大学との交換留学協定を増やす必要があります。今、日本には、かつてのように経済力で世界から注目されるというアドバンテージはありません。国内で1位、2位を競っているだけではだめなのです。

受験生の立場からすれば、大学入学前に世界で通用する英語を身につけておくことは、これまで以上に大事になってくると思います。それは大学選びにあたって、日本の大学だけでなく、世界の大学を視野に入れることにもつながるからです。

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