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【世界で通用する英語力を身につけるために】大学入試でも資格・検定試験の活用が本格化

【世界で通用する英語力を身につけるために】大学入試でも資格・検定試験の活用が本格化

総合教育・生涯学習機関ECC 機関紙Harmony  vol.52(平成28年9月1日) 掲載記事

大学で教えるかたわら、テレビの英語教育番組の講師や英語教材の執筆、さらに文部科学省の英語教育に関する各種検討委員会の委員などでご活躍の立教大学の松本茂先生。

5年目に入ったNHKテレビの「おとなの基礎英語」では、中学で学んだ英語を再活用することで、日本人のおとなの英語力の底上げを図るべく、様々な企画を打ち出しておられます。
そんな松本先生に、現在検討されている大学入試改革と資格・検定試験を活用し、4技能をバランス良く育成する英語教育への転換にあたって求められることについてお聞きしました。

立教大学 経営学部 国際経営学科 教授 松本 茂 先生
立教大学 経営学部 国際経営学科 教授 松本 茂 先生

立教大学 経営学部 国際経営学科 教授 松本 茂 先生

立教大学経営学部国際経営学科教授、同大学グローバル教育センター長。専攻はコミュニケーション教育学。現在、NHKテレビ「おとなの基礎英語」講師、日本ディベート協会専務理事、一般社団法人全国高校英語ディベート連盟副理事長、中央教育審議会の各種委員なども務めている。著書に『英語ディベート 理論と実践』『大学生のための「読む・書く・プレゼン・ディベート」の方法』(ともに玉川大学出版部、共著)、『速読速聴・英単語』シリーズ(Z会、監修)など多数。

大学入試でも資格・検定試験の活用が本格化

大学を巻き込んだ英語教育改革が始まる

《中学・高校、場合によっては大学の1、2年と、6年から8年近くも習っているのに話せない》、《アジア諸国の中で、英語の各種資格・検定試験の成績で日本は常に下位に位置する》――、これが長年、日本の学校英語教育が社会から批判される根拠になってきました。

一方、《日本人なら日本語、国語を先にもっと学んでもらいたい。外国語力は国語力に比例するから》――、これも、日本人全体の英語力の底上げを図ろうと、小学校からの英語教育導入が計画されるたびに繰り返された反論です。

このような英語教育の開始時期や、「英語が先か、日本語が先か」などの議論は20年近く繰り広げられてきましたが、ここ4、5年、その様子はずいぶん変わってきました。

これまでアジアの中で優位を保ってきた日本の経済的な地位、それは取りも直さず日本の教育制度に対する自己評価にもなっていましたが、その急速な低下が肌で感じられるようになったからです。「英語では一歩譲るが…」が、「英語でも勝てない」に変わってきている。それなら、何をさておいても使える英語力を身につける、そのためには日本人が苦手とする「聞く」「話す」を何とかしなければ、と考える人が増えてきたのです。

もちろん、2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されるということもあるでしょう。また、訪日外国人の急増や、海外に進出する企業が、日本人以外の採用を増やしているという報道もそれに拍車をかけているようです。

産業界からの要請もあり、国もこれまでにない改革案を次々に打ち出しました。これまで英語教育改革というと、大学入学までを主な対象としてきましたが、今回は大学を巻き込んだのです。

大学入試英語が変わる

英語に限らず、「日本の高校以下の教育は学習指導要領があるにもかかわらず、大学入試によって決められている」と言われるように、高校までの教育に対して、大学入試は大きな影響力を持ちます。そこで国は大学に、大学での教育と、それを反映する入試の改革を促すことで、そこにつながる学校英語教育の改革のスピードを上げようと考えたわけです。

中でも重視したのが「聞く」力、「話す」力の育成。「読む」「書く」だけに偏ることなく4技能による総合力を高め、留学や《社会に出てから使える英語》、言いかえれば、世界で通用する英語力の育成です。

そこで打ち出されたのが、大学入試での各種の資格・検定試験の積極的活用です。

資格・検定試験は、程度の差こそあれ、みな4技能、総合的な英語力を測ります。最近では、リスニングを導入するなど大学入試英語もかなり変わってきたとはいえ、まだまだ文法訳読が中心。それが高校以下の英語における「聞く」「話す」の軽視につながってきたとも言われてきたわけですから、資格・検定試験を何らかの形で活用して、大学入試でも4技能、総合力を測ることにすれば、高校以下でも、「聞く」「話す」を軽視しなくなるのではないか。これまで英語教育改革にはそれほど積極的ではなかった大学も、世界の中での地位低下への危機感もあって、重い腰を上げました。

具体的にはまず、2020年以降、大学入試センター試験に代わって行われる予定の大学入学希望者学力評価テスト(仮称)での資格・検定試験の活用が謳われています。詳細な詰めはこれからとされていますが、現行の大学入試センター試験になぞらえると、大学入試センターが作成している英語の試験に替えるか、それを補う形での活用が考えられているようです。センター試験では英語の受験者が最多ですから、これが現実のものとなると、大学を目指すほとんどの高校生が何らかの資格・検定試験を受けるようになる可能性も出てきます。しかも検定試験はみな積み上げ式ですから、小学生や中学生段階から受検を始める生徒が、これまで以上に増えるとも予測されます。

もっとも、課題もあります。それは、検定料一つとっても、英語の場合は、中学生や高校生が受験する他の教科に関するものに比べて高額なものもあり、高校生の多くが参加する公的なテストにおいてもすべて受益者負担にするのか、多少は価格設定を考慮しなくてはいけないのではないか、などといった問題が残っているからです。

スーパーグローバル大学(SGU:Super Global University)登場 

大規模な共通テストでの活用についてはまだ不透明感が残る一方、確実に始まりつつある動きもあります。それが個別大学による展開です。

きっかけはスーパーグローバル大学構想(SGU)※です。2013年に30大学が誕生しましたが、10年間に亘って巨額な予算が投じられるとあって、社会からの注目も大きく、高校以下の教育現場への影響も無視できないと考えられます。とりわけ、各大学が具体的なタイムテーブルに沿って、実現すべき取り組みを公約している点が見逃せません。

構想では、学生の英語力強化やそのためのプログラムの整備、創設、海外留学や海外からの留学生の受け入れなど、大学をグローバル化するための取り組みが、主に以下の6項目で示され、しかも項目毎に目指す指標が掲げられています。

①外国人教員の割合、②留学生の数(国外から日本へ来る留学生)、③国内から海外へ留学する日本人学生数、④外国語(英語)による授業、⑤外国語(英語)だけで卒業できるコース、⑥学生が4年間で身につけるべき外国語能力(各種資格・検定試験のスコアやレベルで示す)。

さらにこれに付随して、こうした改革に適応できる学生を集めるために、入試では資格・検定試験を積極的に活用するとして、その具体的な方法や定員に占める割合、およびそのスケジュールが示されています。

中でも、これまでになかったのが一般入試での活用。すでに推薦やAO入試では、高等学校入試同様、資格・検定試験のスコアやレベルを出願要件などにすることは珍しくありません。しかし一般入試、つまり学力試験中心で行われてきた入試形態で、英語の試験に代わって、あるいはそれを補うのに使われることはこれまでにはなかったことで、受験生に対する影響は大きいと考えられます。


※日本の大学のグローバル化、主要大学では、世界の大学間競争に勝ち残っていくのに必要な改革について、明確なプランを示した大学を国が財政面で支援するというもの。当初は違和感のあるネーミングだったが、小学生や中学生にも関係する高校版のSGH(Super Global High school)事業が続いたことで知名度は上がっている。

資格・検定試験の一般入試での活用が広がる

表1は、大学がいわゆる《外部試験》として考える、資格・検定試験の一覧です。いずれも日本でよく知られたものですが、最近では、どの試験を受験しても不公平にならないようにと、各試験のレベルをCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)、ヨーロッパ言語参照基準と呼ばれる外国語能力の絶対基準に基づいて比較対照できるようになっています。


大学の具体的な動きとして話題になったのが、2015年度入試で、上智大学が中心になって作成したTEAP(Test of English for Academic Purposes)を、いくつかの大学がそれまでの英語学力試験に代替させるとした、いわゆる「ティープ利用型入試」です。ティープは、上智大学が公益財団法人日本英語検定協会と協同開発した「《大学教育レベルにふさわしい英語力》を正確に測定する、アカデミック英語能力検定試験」。当初は上智大学のイメージが強かったこともあり利用大学は限られましたが、その後は順当に数を増やし、今後も利用大学は増えると予想されます。

このティープ利用型入試に触発されたこともあり、SGU以外の大学でも、2016年度入試あたりから英語外部試験利用入試を加速させます。また難関大でも、2017年度からは早稲田大学文化構想学部・文学部による一般入試[英語4技能テスト利用型]が始まります(試験実施は2016年度)。

表2は、推薦やAO入試ではなく、これまで「一般入試」とされてきた入試方式の中で、英語外部試験を、受験資格としたり、これまでの学力試験に代替させたり、学力試験を補ったりする大学の一覧です(グローバル系の新しい学部や学科の開設に伴う、一般入試とAO入試の中間のようなグローバル入試などと呼ばれるものを含む)。


大学が外部試験を活用するのは、SGUでの公約や、2020年度以降、本格化するポストセンター試験を見据えているからだけではありません。一大学で4技能試験を作成することはかなり難しいことや、各種の検定には歴史もあり、客観性がすでに担保されていることなどもあります。

また、TOEFL®TestやIELTS™などは、大学入学後の留学準備にもそのままつながるということもあります。さらに言えば、18歳人口の激減で、志願者獲得が厳しくなる中、志願者獲得の新たな手法として期待できるからかもしれません。

ちなみに、2020年以降、本格化する新しい大学入試制度では、大学入試センター試験に代わって二種類の共通試験が実施されるだけでなく、これまでの一般入試、推薦などの特別選抜、AO入試といった区分の見直しも予定されています。推薦やAO入試が、しばしば青田買い、高校の教育現場に悪影響を与えていると批判されてきたこともあり、それらの区分をなくすことで、すべての生徒に大学入学までにしっかりとした学力を身につけてもらいたいとしています。


※TOEFL・TOEICはエデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)の登録商標です。

上からと下からの改革で授業が変わる

今回の小学校英語の教科化と大学入試改革を中心にした英語教育改革も、日本人が苦手としてきた「聞く」「話す」「書く」力をつけることに重点が置かれています。

大学入試改革については、まだまだクリアすべき課題も多いかと思いますが、少なくとも2020年以降は、現在の大学入試センター試験に代わって大学入学希望者学力評価テスト(仮称)が実施され、英語に関しては4技能の力を何らかの形で問う試験に変えるという検討がなされています。

これまでの大学入試には、リーディングを中心に準備しておけば十分で、「聞く」「話す」「書く」ことは軽視されがちでした。しかしこれからは、小学生の頃からECCなどの英語教室で訓練している4技能全般のスキルが、大学受験でも役に立つようになるはずです。

もちろん4技能すべてが大事だというのは今に始まったことではありません。ただ、これまでは、学習指導要領にそのことが明示されていても、そこに記載されている通りの授業を行ってきた中学校や高校が必ずしも多くなかったわけです。大学入試で4技能の力を問うことが、授業改善を加速化させるためのカンフル剤になるのは間違いないと思います。

加えて今回の改革には、小学校で英語を教科化することで、中学・高校英語の底上げを図るとともに、入り口段階からも4技能を重視した授業への転換を促すという狙いがあると思います。

これまで、小学校の英語はあくまで「外国語活動」であり、「教科」として指導されているものではないとされてきました。そのため、中学校では、How are you?からやり直していました。しかしそれが教科になり、しかも、読むこと・書くことも学んだうえで、評点もつけられて中学校へ上がってくるようになります。そうなれば、中学校英語のスタートのレベルが上がります。そして、入学時のレベルが上がるのだから卒業時のレベルも上げなければならないことになります。当然、高校も同様です。同時に上からは、大学入試で4技能が問われるのですから、中学・高校でも4技能のスキルを向上させるためのコミュニケーション活動に多くの時間を割く授業への転換が急速に進展するものと思われます。

小さいころからの積み重ねが大事

こうして見てみると、今度こそ日本人の英語力の底上げが可能になりそうな気がします。しかし、これですべての障害がなくなるわけではありません。

よく言われるように、日本語と英語は、言語構造上の違いがとても大きく、しかも日本には、日常的に英語を使う環境はほとんどありません。ですから、どんなに楽しく効果的な授業をしても、個人の学習時間を増やさない限り十分な英語力はつきません。

小学校での教科化にあたっては、他の教科の時間数を削らず、週2コマ分の授業を追加することになります。10〜15分のモジュールを活用して授業時間を確保するなどの工夫もされるとのことですが、これで日本人の英語力が格段によくなるわけはありません。もちろん教科化による社会的インパクトは大きいとは思いますが…。

まずは子どもたちが学校で英語の授業を受けて、英語に興味を持つことが重要です。しかし「もっと学習したい」「英語を使ってみたい」となったときに、残念ながら十分な受け皿が用意されていないのが現状です。日本の小・中学校は、まだICT化がさほど進んでおらず、自分で英語を勉強したり、英語を使ったりする環境が整備されていません。ですから、ECCのような英語教室に通って、学校の英語の授業と英語教室での授業や活動を組み合わせることで、英語に接している時間も増え、学習効果もより上がるはずです。

教材、テーマは内容重視で

学ぶ内容についてひと言。「おとなの基礎英語」では、おとなが興味を持つような題材・内容を選んでいます。ECCジュニアの教材がいいのは、子どもが知りたくなるような話や言葉がたくさん入っている点ですね。例えば、昆虫の名称。教材のテーマは学ぶ側の興味・関心に応えるもの、その人の生活と密着したものがいいと思います。

学校で使う検定教科書では、扱う単語数に制限がありますから、花の名前にしても4つか5つしか載せられません。動物でも5〜6種類、虫の単語を扱う余裕はほとんどありません。だからこそ、先生が、教科書の枠を越えて、生徒が興味・関心を示す単語や読み物を紹介することが大事です。しかし現実は、理解できない子どもがいるからと、教科書の英文量を少なくしてしまう傾向があります。本来はやさしい英文で、中身を充実して、子どもたちが自分の興味や関心のあるものを選べるようにしておくべきではないかと思います。範囲を狭めて、興味・関心のないものを徹底的に勉強させられればさせられるほど、子どもたちはやる気を失うと思うのです。

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