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松下 奈緒 『旅と言葉』vol.4

松下 奈緒 『旅と言葉』vol.4

アートにも造詣が深い松下さんは、各国を旅する中でさまざまな作品とアートに関わる人々に出会ってきました。
そうした旅の中で感じたことや深く印象に残った出会いについてお話ししてくれました。

※本インタビューはECC外語学院にて配布しておりますフリーマガジン『MeLeDi』vol.4に掲載しております。

インタビュー記事vol.1はコチラ
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『MeLeDi』とは、言葉がもたらす出会い、学び、発見、そして未来を応援するマガジンです。

『旅と言葉』

旅の中で出会った方の「言葉」がずっと胸に刻み込まれています。


―アートに触れた旅の中で、印象に残るエピソードを教えてください。

たくさんの旅でアートに触れさせていただきました。どの旅も印象的なものばかりでしたが、特に心に残っているのはフィンセント・ファン・ゴッホに触れたオランダの旅です。私はゴッホの作品が大好きで、『花咲くアーモンドの木の枝』や『夜のカフェテラス』を見ることができた思い出深い旅でした。

「ファン・ゴッホ美術館」や「クレラー・ミュラー美術館」、ズンデルトにある彼の生家など、作品が生まれた場所や、モチーフになった物を自分の目で見られるなんて、貴重な体験だったと今でも思います。

旅をしていると、思わぬ幸運に恵まれることもあるんですよ。撮影でハワイを訪れたときに、たまたま『ナショナルジオグラフィック』の写真展が開かれていて、迫力のある動物写真に出会えました。私は動物写真が大好きなのですが、中でもシマウマの写真の美しさに心惹かれてしまって…時間が許せば何時間でも眺めていたかったな…。
実は、その数カ月後にケニアを訪れることができたんです。私もシマウマの写真を撮ってみましたが、なかなかプロのようにはいかないですね(笑)。

 

―そうした旅の中でたくさんの方と触れ合ったと思いますが、印象に残っている方、あるいは言葉はありますか?

以前にお話しした(Vol.1)、画家ピエール=オーギュスト・ルノワールのひ孫、ジャック・ルノワールさんとお会いしたことが、とても心に残っています。映画監督や写真家としても活躍なさっている方なんですよ。

ドキュメンタリー番組でお会いしたのですが、最初にお話をいただいたとき、約2週間、ヨーロッパでルノワールゆかりの地を巡る旅をして、最後にジャックさんとお会いしてお話を伺えると聞いて、とても楽しみでした。そして旅の締めくくりとして、期待と緊張でいっぱいの中、ジャックさんにお会いした瞬間、号泣してしまったんですよ。だって、ジャックさんは本当にルノワールにそっくりで、「肖像画でしか見たことのないルノワールがそこにいる!」と思ったんです。また、彼がとても優しい口調で、私でも分かりやすい英語でお話ししてくれたので、より感動したんです。

ルノワールは長年リウマチと闘い、指も変形し歩けなくなってしまっても、車椅子に乗りながら描き続けたと、ジャックさんはルノワールの絵に対する情熱を話してくれました。そして、お話に感動して涙がこぼれてしまった私に、こう言ってくれたんです。

「あなたが音楽家であり女優だと伺い、情熱がいかにあなたをとらえて離さないか、すでに答えはお分かりだと思うのです。その情熱はあなたの人生において、あなた自身の生活や周りの人を巻き込んでいく。人はそれを受け入れることしかできないのです。情熱を中心にあなたの人生はあり、それはルノワールも同じです。あなたのその熱い気持ちにとても感銘を受けました。あなたのような素敵な女優さんに思ってもらえて感動します」

そう言っていただけたことが本当にうれしかった…。私にとっても素晴らしい出会いで、素敵なお話を聞けたことに感動しました。

 

気持ちを言葉に乗せる。会話ではそれが大切です。


―「アートとの接し方が違うな」、「この国みたいな接し方ができたら素敵だな」と感じた国はありますか?

ハンガリーをはじめ、特にヨーロッパの美術館で感じることなのですが、「こんなに近くで見ることができるの!?」といつも驚かされます。

ヨーロッパの美術館では小学校低学年くらいの子どもが、学芸員の方に話を聞いているところをよく見かけます。特に驚いたのが、アルフォンス・マリア・ミュシャの取材でのことです。「プラハ国立美術館」の『スラブ叙事詩』を見に行ったのですが、小さな子どもたちが一生懸命に絵の解説を聞き、それを真似て絵を描いていました。あんなに幼い頃から本物のアートに触れられる時間があるのはとても羨ましいことです。その時は分からなくても、素晴らしい芸術は子どもたちの記憶に刻まれたはずですから。

そうそう、最近見たニュースでも素敵だなと思ったことがありました。フラワーアーティストの方がNYの町中にゲリラ的に花を生けたんです。場所は使われていない電話ボックスや、ゴミ箱、工事現場などです。コロナ禍で大変な中、医療従事者に向けて病院前のベンチを花でいっぱいにしているのも見ました。

そうした心遣いや花を愛でることで、一瞬でも大変なことを忘れられるのではと思い、感激しました。

 

―小さな美術館も自分で調べて訪れるそうですが、そうした情報を集める方法を教えてください。

街を散策する中でふらりと入ってみることもありますが、ほとんどはガイドブックや、インターネットで見つけています。情報を集めて調べ、地図に書き込んでいくんです。宿泊先からどれくらいでそこに行けるかなど、やりたいこと、見たいものをすべてリストアップします。前にもお話ししましたが、計画を立てるのが好きなんですね。

 

―旅を自分で面白くする、という「気合い」を松下さんから感じますが、そうなったきっかけがあるのですか?

本当に「気合い」です(笑)。「いつまたこの場所に戻って来られるか分からない」と思うと、時差ぼけで辛くてもエンジョイしてしまいます。

初めて自分で計画して旅をしたのは大学生の時でした。母と祖母とでイタリアに行ったのですが、見たいもの、食べたいもの、行きたいところがありすぎて、「旅程を考えないと計画的に回れない、何とかしなきゃ!」と思ったのがきっかけです。

私はゆっくりカフェでお茶するよりも、一箇所でも多く美術館に行きたいタイプです。だから、電車の時刻表をチェックし、移動にどれくらいかかるかまで考えて、無駄のない旅程を作ったのですが、時間通りに駅に行っても電車が来なくて…。この旅で、イタリアの電車は時間通りに来ないのが普通だと学びました。結局、バタバタした旅になってしまいましたが、自分で調べて旅をすると、その国や場所に詳しくなれるし、旅での出来事がより印象深いものになります。だから、今でも旅に出るときは、前のめりで下調べをします!

 

―音楽とは別に、チャレンジしているアートはありますか?

カメラが大好きで写真を撮るために旅に出る、というのが夢です。

カメラを始めたきっかけは、映画でカメラマンの役を演じたことです。役作りの一環で撮影前にフィルムカメラを渡され、「慣れるために好きなもの撮っていいよ」と言われたのが、私のカメラ歴の始まりでした。そのときは上達したいとは全く思っていなくて、「好きなものを綺麗に可愛く撮るにはどうしたらいいのだろう」と、そんなことばかり考えていました。誰かに見せることもなかったし、完全に自己満足ですね(笑)。でも、それがきっかけでカメラに興味を持ち、撮影でお世話になったカメラマンさんに教えていただいたりして、少しずつ自分の撮りたいものを表現できるようになってきました。

 

―アートのように「表現」することは、楽しい反面、怖さを感じる人も多いと思います。松下さんは表現することの怖さをどう克服しましたか?

「表現」には、「答え」がない。だからこそ怖さも楽しさもあります。自分のセンスや生き方、その人らしさを前面に出すのが女優や、アーティストだと思います。そのためには本物を見て、いいものを知る。感じたことを心に留めておくようにしています。それは、言葉を伝えるときにも通じていて、外国語であっても、ただ言いたいことを伝えるのではなく、「自分の気持ちを言葉に乗せる」ことをいつも心がけています。

旅の中で自分の言葉で海外の方に自分を表現する、つまりは会話をすることで、自信や多くの知識を得られると思います。私自身もそうです。それは何物にも変えられない財産です。今のご時世、旅に出ることはなかなか難しいですが、いつか旅をする日のために、計画を練るのもいいかもしれません。いろんな出会いを大切に、たくさんの好奇心を持って、これからも大きく羽ばたいてください!


Profile
198528日生まれ。大学在学中の2004年にドラマ『仔犬のワルツ』(日本テレビ系)で女優デビュー。女優業と並行し、ピアニスト、作曲家としても活躍。20201月から『日経スペシャル ガイアの夜明け 時代を生きろ!闘い続ける人たち』(テレビ東京系)の3代目案内人を務める。

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